狂牛病についてーNo.1ー

1.狂牛病とは?

異常型プリオンが牛の脳に蓄積し、脳の神経細胞に空胞と呼ばれる穴があき、脳そのものがスポンジ状に変化する結果、運動神経が冒され歩行や立つことが出来なくなり、次には呼吸神経が冒され死亡する病気です。同じような病気は羊にもあり「スクレィピー病」と呼ばれています。


2.狂牛病はいつ発見されたか

1986年にイギリスで発見された。
羊のスクレイピー病は今から300年以上前からイギリスやドイツですでにありました。


3.狂牛病はどうして起こるのか?

最初に羊のスクレイピー病の起こる機序から説明します。
スクレイピー病に感染した羊が出産時に排泄した胎盤を他の羊が食べ群れの中に感染が広がったと考えられています。
しかし、感染の原因となる異常型プリオンがいつどこから来たのかは全く分かっていません。


4.プリオンとは何?

1982年、アメリカ人のスタンリー・プルシナー教授が発見し英語の「感染性たんぱく粒子」を語源にして「プリオン」と命名した。
プリオンには正常型プリオンと異常型プリオンの二種類があり、人や哺乳動物はもともと正常型を持っているが、この働きや役割は不明です。
正常型プリオンも異常型プリオンもアミノ酸の配列は同じですが、立体構造が違い正常型プリオンはらせん構造の部分が多いが、異常型プリオンは平らなシートのような構造をしています。


5.異常型プリオンが体の中に入るとどうなるか

異常型プリオンが体の中に入ると自らを鋳型にして正常型プリオンの立体構造を変化させながら次々と正常型プリオンを異常型プリオンに変えてしまいます。
異常型プリオンは体の中では分解されずに主に神経細胞に蓄積され、特に脳では神経細胞が壊され脳がスカスカの状態になり、手足のマヒや痴呆症を起こしやがて死亡します。


6.人の狂牛病とは

狂牛病は生物の種を越えて感染します。
その理由はどのような動物でもプリオンのアミノ酸配列が8〜9割似ているからです。
人の狂牛病としては、クロィッフェルト・ヤコブ病がありますが、これには「変異型」、「孤発型」、遺伝子の変異が家族の中で遺伝する「家族型」、医療行為で感染する「医原型」などがあります。
牛から感染する狂牛病とは変異型クロィッフェルト・ヤコブ病と呼ばれます。


7.狂牛病はどのようにして人に感染するのか

狂牛病に感染した牛の脳、延髄、目、骨や小腸の一部には多数の異常型プリオンがあります。
これらの部位を人が食べると体内に異常型プリオンが取り込まれ、やがて人の神経細胞に蓄積され脳の神経細胞を破壊し、発症するとほぼ1年以内に死亡します。
狂牛病に感染した牛を食べ変異型クロィッフェルト・ヤコブ病に感染すると現在では治療法は全くありません。
また異常型プリオンは調理の際の加熱では死にませんので狂牛病に感染した牛を食べないことが唯一の予防策です。


8.日本国内で狂牛病の牛はどのくらいいるのか?

国内で初めて狂牛病の牛が千葉県で1頭確認されパニック状態になっていますが、国はこれ1頭しか狂牛病の牛はいないと、言っていますが、長年狂牛病の原因になった骨肉粉をイギリスから輸入して、牛の飼料としていた関係上、この牛1頭だけでなくかなりの数の牛が狂牛病に感染しているものと推測とます。
1頭の牛が確認されたことからして疫学的には50〜100頭の狂牛病に感染した牛がいるものと思われます。
血液の鉄人としてはこれ以上狂牛病に感染した牛が確認されないことを祈ります。

国の一層の安全対策を望むとともに、現在実施している狂牛病の検査体制が万全のものであって欲しいものです。


今後、当HPでは狂牛病について詳しくお知らせします。
狂牛病についての質問は何でもかまいませんのでどしどしお寄せ下さい。

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