抗D抗体について

4点の質問にお答えします。

1.抗体が出来てしまった場合交換輸血などの治療法があることは鉄人さんのページでも教えて頂きましたが、妊娠した子供は統計的にどのくらいの割合で正常に経過するのでしょうか?妊娠する前に抗体価を調べたりした方がいいのですか?

回答:妊娠した子供は、妊娠中に適切な経過観察をすることにより、100%問題は起こりません。
このような場合は、次回の妊娠時には、初診時と1カ月ごとに抗体価を調べます。そして抗体価の上昇を見ながら適切な処置を行い無事出産できるように対応できますので何の問題もありません。
問題となることをあえて上げるとすれば、このような対応のできる検査設備の整った病院を受診する必要があることだけです。


2.34週以前の治療法の胎児輸血とはどのような物なのですか?


回答:出産までに異常なまで母親の抗D抗体が上昇し、このまま放置すれば、子宮内で胎児が死亡する恐れが発生したした時に、子宮内の胎児に直接輸血する方法です。
この方法は医療技術の進歩と伴い安全に行われるようになりました。
しかし、この方法を受けるには熟練した技術を持ち、経験の豊富な病院にかかる必要があります。


3.中絶や流産の記憶はないのですが、なぜ抗体が出来てしまったのでしょうか?

回答:第1子妊娠後期にに抗D抗体ができることはあります。
この原因は、妊娠中期に胎盤に傷が出来そこから胎児の血液が少しづつ母親に移行し、妊娠後期までに、母親が胎児の血液で免疫され、抗D抗体が出来たと考えられます。このようなことは珍しくありません。血液の鉄人も多く経験しております。


4.出産前はよく献血へ行っていたのですが、今は何となく気にかかって行っていません。抗体が出来てしまった私の血液でも役にたてるのでしょうか?

回答:献血された血液は、赤血球と血漿に分けられ、赤血球はRhマイナスの患者に使用されます。
また、asagaoさんのような人が献血された血漿を凍結保存し、ある一定以上たまると、血漿の中にある抗D抗体を濃縮し、Rhガンマーグロブリンの製造原料として利用されます。
RhガンマーグロブリンとはRhマイナスの母親が妊娠し、出産後抗D抗体ができる前に、母親に注射し抗D抗体ができること事前に防止するための大切薬品です。
この薬品は抗D抗体を持った人が献血されないと製造できません。
だだし、この薬品は一度抗D抗体を作ってしまった母親はに使用できません。このように献血された血液は有効に利用されています。

血液の鉄人

新 医学と切手の極意