Rhマイナスの母親がRhプラス子供を妊娠した時の注意点について

 Rhプラスの母親が妊娠し生まれてきた子供がRhマイナスの場合は何の影響もありません。
その理由は、人は生まれながらに生体防衛免疫機構を持っており、この生体防衛免疫機構により自分の体を細菌・ウイルス・有害な異物から守っています。この免疫機構があるために人は生命を維持することが出来る訳です。

Rhプラスの人はRh式血液型のD抗原(Dと呼ばれる物質)が赤血球の表面にあるのでRhプラス又はDプラスと呼ばれます。
反対にRhマイナスの人は赤血球の表面にD抗原(Dと呼ばれる物質)がないので、RhマイナスまたはDマイナスと呼ばれます。

それでは生体防衛免疫機構とRh血液型との関係はと言いますと、Rhマイナスの人にRhプラスの血液を輸血しますと、Rhマイナスの人は赤血球の表面にD抗原(Dと呼ばれる物質)を持っていないために、Rhプラスの人のD抗原(Dと呼ばれる物質)が自分の体の中に入ってくると、異物が侵入したとして生体防衛免疫機構が感知し、D抗原(Dと呼ばれる物質)を破壊する免疫物質抗D抗体を作り出します。

この免疫物質抗D抗体は最初の侵入の時には作り出されるだけで、2回目の侵入の時には瞬時に反応し、赤血球の表面にあるD抗原(Dと呼ばれる物質)を破壊します。
そのため赤血球は破壊され、輸血副作用が起こり、最悪の場合は死亡します。
これが生体防衛免疫機構の働きです。

また、Rhマイナスの母親がRhプラスの子供を妊娠しますと、子宮内で胎児のRhプラスの血液が胎盤を通り母親に移行するために、母親はRhプラスの血液の輸血を受けたことと同じ現象が体内で起こり、抗D抗体が作られる訳です。

そしてこのこの抗D抗体は最初の妊娠では子供に影響せず、2回目以降の妊娠で、胎児がRhプラスの場合、母親の体内の抗D抗体が胎盤を通り胎児移行し、胎児の赤血球の表面のD抗原を破壊するために、新生児溶血性貧血が起こります。

このように人の免疫機構は自分の持たない物質が体内に入ると、自分自身を防衛する為に、異物を排除免疫物質を作り出します。
ですから本来自分自身が持っている物質が、侵入しても免疫物質は作られません。
これは自己を認識する免疫機構と呼ばれます。

そのためRhプラスの母親がRhマイナスの子供を妊娠し、D抗原のないRhマイナスの胎児の血液が胎盤から母親へ移行しても、D抗原のない血液がD抗原のある母親へ移行するわけですから何の免疫反応も起こりませんので何の影響もありません。

これは妊娠中、出産後も同じことです。
また、何人妊娠しても同じことです。

結論として、Rhプラスの母親がRhマイナスの子供を妊娠しても何の問題もありません。
問題が起こるのは、Rhマイナスの母親がRhプラスの子供を妊娠したときだけです。この件に関しては、HPの知識の窓をご覧下さい。

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