血液型不適合について
〜Rh−Hr式血液型による不適合妊娠について〜
Rh式血液型は正式にはRh−Hr式血液型と呼び一般に調べています6種類の外に42種類の血液型があります。
Rh陽性・陰性については当HPの知識の窓に掲載しておりますのでご覧下さい。
Rh−Hr式血液型の42種類の血液型について全て説明することは専門的になるので、ここではRh−Hr式血液型のC・c・E・eについてお答えします。
人は全てD・C・c・E・eのいずれかの抗原を赤血球の表面にもっています。
Rh陽性 |
CCDee |
CcDEe |
ccDEE |
CcDee |
(42.98%) |
(37.44%) |
(9.06%) |
(6.50%) |
ccDEe |
CCDEe |
CcDEE |
ccDee |
CCDEE |
(3.06%) |
(0.46%) |
(0.32%) |
(0.12%) |
(0.05%) |
Rh陰性 |
ccdEe |
ccdee |
ccdEE |
Ccdee |
(36.39%) |
(26.28%) |
(18.60%) |
(8.96%) |
CcdEe |
CCdee |
CcdEE |
CCdEe |
CCdEE |
(7.48%) |
(1.67%) |
(0.35%) |
(0.18%) |
(0.08%) |
*( )中は日本人における頻度*
このように18通りの血液型に分類出来ます。
Rh陽性の中のCCDee型の人が、E抗原不適合になった場合について説明しますと、赤血球の表面にE抗原をもつ人をE+と呼び、ない人はe+と呼びます。
Eについてですが、日本人で赤血球の表面にE抗原をもつ人はおよそ45%います。
わが国の輸血検査ではRh−Hr式血液型のC・c・E・e抗原のあるなしの検査を行っていないのが実情です。
C・c・E・e抗原の検査を行わない変わりに、母親の血液中のC・c・E・e抗原に対する抗体(C・c・E・e抗原を壊す物質)の検査を行うことで対応しています。
母親がee型で、父親がEE型かEe型の場合について解説します。
血液型はすべてメンデルの遺伝の法則にしたがって遺伝するために、2人の間の子供は、母親のeと父親のEをもらうとEe型、母親のeと父親eをもらうとee型となります。
次に血液型不適合妊娠の説明を行いますと、E−(ee
型)の母親が妊娠しますと、父親がE+(EEかEe型)ですので、先に述べましたように胎児がEe型になりますと、子宮内で子供のE+の血液が母親の体内に入り込み、E+の血液を壊す物質、抗E抗体が作られます。
この抗E抗体は胎盤を通過し、子宮内の子供の赤血球の表面にあるE抗原と結び付き、子供の赤血球を壊します。その結果、子供は溶血性の貧血を起こします。
これを『E抗体による母子間血液型不適合による新生児溶血性貧血』と呼びます。
胎児がee型(E抗原をもたないとき)の場合は何の問題も起こりません。
Rh−Hr式血液型による新生児溶血性貧血はEだけではなく、D・C・c・e全てで起こります
この対策ですが、輸血検査の部門のある病院では、妊婦が受診すると、妊婦の血液中の母子間血液型不適合による新生児溶血性貧血をおこす物質(抗体)の検査を実施し、この物質がある妊婦は出産まで経過を観察し、血液中の抗体の強さがある一定以上になると、帝王切開で出産させ、子供の血液を入れ替える交換輸血を行います。
妊娠3ケ月目から、血液中のE抗体の強さの検査を行い、ある一定以上の強さになると帝王切開で出産させます。
しかし、血液の鉄人の長年の経験からし、E血液型による場合は自然出産まで子供に影響が無いことが多いです。出産後、E−(ee型)の血液で子供の血液を全て入れ替える交換輸血を行い治療することで、子供には何の影響もなく完治します。
血液の鉄人はこのような症例を多く経験しています。
Rh−Hr式血液型による不適合妊娠は多く経験されていますが、ほとんどは新生児に問題なく無事出産しています
血液型不適合妊娠の原因となる血液型抗体を持っている人は、妊娠の際には輸血検査の出来る大きな病院でお産されることをお進めします。また、受診された時に自分はE−で抗E抗体をもっていることを医師に話されることにより早く対策が出来、生まれてくる子供に対して適切な治療が早く出来ることにより問題は解決されますので何の心配もありません。