貧血の原因と検査についての回答

先端恐怖症男性さんへ


1.貧血とは何か?
まず血液の働きから説明しますと、
@赤血球は体の全身に酸素を供給し、体の全身から肺へ二酸化炭素を運ぶ働きと、栄養分を全身に運ぶ働きをします。
A白血球は体に侵入した細菌などの病原体を無毒化し、病気にならないように免疫機能を作る働きをします。
B血小板はケガをしたときに出血した血液を固まらせて出血を止める働きをします。

これら血液の成分は骨の中心にある骨髄で作られ、それぞれの寿命は赤血球は120日、白血球は数時間から2週間前後、血小板は10日前後で次ぎ次ぎと作られるために、体が正常であれば血液の成分は不足しません。
貧血とは血液の成分の内の赤血球が何らかの原因で少なくなるために、全身に酸素を運ぶ機能が悪くなり、頭が重い、耳鳴りがする、疲れやすい、便秘や下痢が交互に起こる等の症状が出てきますが、これは酸素が体のすみずみの組織に十分に行き渡らなくなるために、脳や神経あるいは筋肉および胃腸等の消化器官に悪い影響が出ることにより起こります。


2.貧血の原因
いろいろ有りますが、一番多いのは赤血球を作るのに必要な栄養分、鉄分、ビタミンB12葉酸などが不足して起こります。
この貧血は赤血球を作る鉄分やビタミン等の栄養分を補給すれば簡単に治ります。
ところが、血液を作るおおもとの骨髄が悪くなると赤血球が作られなくなりやはり貧血になりますが、これは病院で適切な治療が必要となります。

さらに、腎臓・肝臓・甲状腺などの働きが悪くなると赤血球の製造能力が悪くなりやはり貧血になります。これも病院で適切な治療が必要となります。
血液は体の中で正常に作られているが、慢性的に体の中で出血している場合、例えば、痔・胃潰瘍・十二指腸潰瘍などある場合も、赤血球が作られる以上に出血すると貧血になります。
相対的に『貧血気味』とよく言われますが、貧血になるいうことは、体の中からいろいろの異常を訴えていることと認識して、病院にかかり貧血の原因を調べ適切に対処することが必要です。

3.貧血の検査
貧血の検査は血液を取り、血液中の成分を調べることにより分かります。
健康診断などで血液の検査を行いますので、下記の血液成分の標準値を参考に一応の目安を立てて下さい。
血液検査の標準値を以下に紹介します。

赤血球数 410〜530万 380〜480万
血色素量 14〜18g/dl 12〜16g/dl
ヘマトクリット値 39〜52%l 35〜48%
平均赤血球血色素量 男女とも:29〜35(平均 32)
平均赤血球容積 男女とも:89〜99(平均 94)
平均赤血球血色素濃度 男女とも:31〜36(平均 34)


これらの数値の間に入っていれば貧血ではありません。
しかし、これらの検査は機械を使って検査しますので、使うメーカの機械により誤差が生じますので、これらの値の下限の5%前後下回っていてもあまり問題ないと思われます。
これらの数値の下限を10%以上下回り、先に述べました種々の症状が有れば貧血の可能性が有りますので、医師の診察と精密検査が必要です。
反面、これらの数値の上限を10%以上上回りますと貧血以外の血液の異常が疑われますので、やはり医師の診察と精密検査が必要です。



上記の医学用語を簡単に説明します。

@血液1μl中に含まれる赤血球の数
A赤血球の主な成分のヘモグロビンの量で酸素の運搬と二酸化炭素の除去の役目を受け持つ
B赤血球占める容積を%で表示したもので、貧血の指標となる
Cここの赤血球に含まれる血色素量を絶対値で表したもの
Dここの赤血球の容積を絶対値で表したもの
Eここの赤血球の容積に対するヘモグロビン重量の比を%で表したもの

単なる検査だけで貧血を云々出来かねますので、以上述べましたことをあくまで参考としてご判断下さい。