■□□□ エイズは正しい知識を身につけることで予防可能な病気です!! □□□■ ■□□□□□□□□□ 正しい知識を身につけて予防 □□□□□□□□□□□□■ 新・医学と切手の極意 鉄人レター ■□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□■ 2009/2/23(No.12) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■ HIV-2について ■■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 今回は、HIV-2について解説します。 ------------------------------------------------------------------------------- □HIV-2とは何? ↓ 後天性免疫不全症候群AIDS(エイズ)を引き起こすHIVの二番目に発見されたことから、 HIV-2と命名されました。 ------------------------------------------------------------------------------- □HIV-1とHIV-2の違いは? HIV-1との構造上の違いは、エンベロープの糖蛋白で、gagやpolに対する抗体は一般的 に交差反応します。 ------------------------------------------------------------------------------- □HIV-2の発生は? HIV-2も、HIV-1と同様にサルのエイズウイルス(SIV)がヒトに感染し、発生したと考え られています。 スーティーマンガベイ(Sooty mangabey)という猿のサル免疫不全ウイルス(SIVsm)に感 染したスーティーマンガベイを人間が獲って食べたことで人間に感染し、やがてHIV-2が 誕生したと考えられています。 ------------------------------------------------------------------------------- □病状と流行は? HIV-2は、CD4数の減少や日和見感染など、HIV-1と同様の症状を引き起こします。 しかしHIV-1よりは進行が遅く、また性行為感染や母子感染の率は低いとされています。 また、HIV-2感染には地域性があり、限定された地区での流行しか見られません。 HIV-2が初めて報告されたのは1986(昭和61)年の初めで、臨床的にはエイズながら、 血中からHIV-1が検出されなかったポルトガル在住の西アフリカ人から見つけられました。 しかし、その後の研究から、実際にはかなり以前から存在していたと考えられています。 ------------------------------------------------------------------------------- □HIV-2のサブタイブは? HIV-2のサブタイプは、A〜Gまでの7つあることが知られています。 主な流行地は、西アフリカに限局して存在していましたが、現在ではフランス、アメ リカ、西インド地域や韓国においても感染例の報告があります。 =============================================================================== □日本でのHIV-2の発生は? これまでに、1992年と2002年に合わせて2例のHIV-2感染例が報告されていますが、 いずれも韓国人感染者でした。 また、2006年(平成18年)日本人症例としてはじめて感染例が報告されています。 この感染者は、西アフリカ・セネガルで交通事故に遭い、現地の病院にて脾摘手術を 受けた際に、現地人から輸血を受けた既往歴があることが明らかとなったことから、現 地の輸血で感染したと考えられています。 ------------------------------------------------------------------------------- □日本での性行為によるHIV-2の感染者は存在するの? 今まで、日本国内で、性行為によるHIV-2の感染者は報告されていませんでしたが、 この度日本国内での性行為で、日本人女性2名のHIV-2感染者が判明しました。 ↓ https://api-net.jfap.or.jp/mhw/document/doc_01_0203001.htm 『新医学と切手の極意』の「医事通信」でも紹介していますので、ご覧下さい。 ↓ https://voxsangman.com/iji/iji.html ------------------------------------------------------------------------------- □HIV-2の検査はどうすればよいのか? HIV-2に関しては、HIV-2抗体を検査して見つけることが出来ます。 検査法としては、 1.第四世代の抗原抗体検査・・・・・不安な行為から12週以降。 (不安な行為から30日の検査では、HIV-1しか見つけることが出来ません) 2.即日抗体検査・・・・・不安な行為から12週以降。 3.第三世代の抗体検査(エライサ法・PA法)・・・・・不安な行為から12週以降。 4.リアルタイムPCR検査(タックマン)はHIV-2は見つけることが出来ません。 5.血液センタで実施しているNAT検査・・・・・HIV-2を見つけることが出来ます。 ※詳細は以下を参照して下さい※ ↓ https://voxsangman.com/chishiki/hiv39.html 【注 意】 血液センターで実施しているNAT検査でHIV-2が見つかることから、検査目的の献血は 絶対にしてはいけません。 ------------------------------------------------------------------------------ □HIV-2の治療法は? HIV-2感染症の治療の原則は基本的にHIV-1と同様です。 ただ、HIV-1逆転写酵素(RT)に特徴的な構造である疎水性ポケットがHIV-2 RTには認 められないため、『非核酸系逆転写酵素阻害剤』に対して自然耐性をもっていることが多 く、HIV-2に対するHAART(highly active anti-retroviral treatment、多剤併用療 法)においては、『非核酸系逆転写酵素阻害剤』を避けた薬剤の組合せを用いることが推 奨されています。 ------------------------------------------------------------------------------- □今後日本での流行はどうなるのか? 今回の、日本人女性2名の感染により、今後の展開は以下のように考えられます。 1.日本人女性に感染させた、西アフリカ出身の男性が、日本国内で、積極的な性的 な活動をしていれば、他の日本人女性への感染者が危惧されます。 2.今回感染した2名の女性が、性的に活発な行動をしていれば、他の男性への感染が 危惧されます。 3.1と2で感染した人が更に性的に活発な行動をすることにより、他の人への感染が 危惧されます。 これらのことからして、今後わが国でもHIV-2の感染者が増大すると考えられます。 =============================================================================== ※まとめ※ HIV-2について解説してみました。 今までわが国では、性行為によるHIV-2の感染者が存在していなかったことから、 性行為にするHIV-2感染は、まず無いと考えられていましたが、今回、日本国内で、 性行為によるHIV-2感染が証明されたことから、今後は、性行為によるHIV-2の感染が 増加すると考えられます。 その為に、HIV-2の検査を受けることは非常に重要となりました。 お役に立ちましたでしょうか??!! ======================================= ◆編集後記◆ ======================================= *************************************** ★最後に次の点だけは、何卒、ご了承のうえご購読下さい★ ●このメールマガジンは、長年エイズ研究に従事しその間に有した経験と知識を 基にして、内外の学会・専門雑誌・各国の情報をも参考に出筆し、万全を期して おりますが、ご利用により、発生したいかなるトラブル・損失等に対しても、発 行者は一切責任を負いませんので、ご利用は自己責任でお願いします。 また、記事の一部又は全部の転載を禁じます
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