糖尿病に関するアラカルト
糖尿病という病名の由来とは?
古代ギリシア時代に、「飲んでも飲んでもそれ以上に尿が出ていき、しまいには干からびて死んでいく」という病態の観察から、サイフォンを意味するギリシア語のディアベテス(Diabetes) という病名が用いられていました。
18世紀になって糖尿病患者の尿が甘いことを発見し、「甘い」を意味するメリトゥス(Mellitus)という形容詞がつけられ、Diabetes Mellitusとなって今日にいたっています。
糖尿病の最古の記録は
紀元前1500年ころに記された古代エジプトの『パピルス文書』に「大量の尿を出す病気」という記述が残っています。
糖尿病の尿が甘いことを確認した人物は
7世紀に当時、奇病とされていた多尿症の研究をしていたイギリスの医学者のトマス・ウイリスが実際に患者の尿をなめて甘いことを確認しています。
日本最古の糖尿病患者とは?
藤原道長の晩年の健康状態を記した記録によると、彼の病態は糖尿病と酷似していることから、糖尿病の日本での最古の糖尿病患者とされています。
晩年の道長の様子を記録した「小右記(しょうゆうき)」には、「のどが渇いて水を大量に飲む」、「痩せて体力が無くなった」、「背中に腫れ物ができた」、「目が見えなくなった」などの記載があります。
1994年に日本で発行された『国際糖尿病会議記念切手』には、藤原道長が描かれています。
織田信長は糖尿病?
織田信長は、昔の名前で「飲水病」すなわち糖尿病に罹ってたという記録が存在しています。
後年、糖尿病神経障害によると思われる下肢のしびれや痛みに悩まされ、イライラが高じて、いろんな残虐行為を繰り返したと推測されています。
明治天皇も糖尿病?
近代においては明治天皇が、糖尿病の悪化と併発した尿毒症で崩御されています。
晩年、糖尿病の進行に伴う強い眠気から枢密院会議の最中に寝てしまわれることもあったようです。
飲水病とは?
糖尿病のことで、喉が渇いて水が欲しくなり、多く飲むことから平安時代にはそう呼ばれていました。
蜜尿病とは?
日本では明治時代の半ばごろまでは、糖尿病のことを「蜜尿病」と呼んでいました。
日本では何時頃から糖尿病と呼ばれるようになったのか?
1872年の『内科摘要』には“蜜尿病”が、1876年の『検尿必携』では“糖尿病”が一部に記載されているので、この時期が最初ではないかと推測されています。
written by 血液の鉄人
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