HIVについて−3.HIV-2−
HIV-2とは?
1985年に、モンタニエらが、AIDS患者から新たな原因ウイルスを分離し、「LAV-2(Lymphadenopathy-associated virus-2)」と命名しましたが、その後HIV-2と改称され現在に至っています。
HIV-2の起源と分布は?
西アフリカのテナガザルから見つかったSIVとよく似ていることから、これが起源だと考えられています。
HIV-2感染者の多くは西アフリカに限局して存在していますが、フランス、アメリカ、西インド地域や韓国においても感染例の報告があります。
多くの国では、HIV-1の感染者が増加している一方で、HIV-2感染者は減少している傾向が見られています。
HIV-2の分類
HIV-2は本当に感染力が弱いのか?
HIV-2の感染者がほとんどAIDSを発症しないことから、ウイルスの複製能力が低い、宿主の免疫応答が高まる、あるいは両方ではないかと考えられています。
症状が出ていない段階でのHIV量(VL)と血漿中のRNA量は、HIV-2感染者はHIV-1感染者に比べての30倍ほど低いという報告があります。
同じHIV-1とHIV-2感染者のうちCD4+T細胞量が同じぐらいの人を比べてみるても、プロウイルスの量は同じですが、HIV-1感染者の方が血漿中のHIVの量は高い傾向にあります。
これらのことから、HIV-2のプロウイルスはより強い規制を受けているのではないかと考えられています。
HIV-2に感染すると?
HIVに感染した人のうち5年後にAIDSを発症していない人は、HIV-1が67%であるのに対しHIV-2は100%であるとの統計結果がありますが、
これは、CD4+T細胞の減り方がHIV-1感染者に比べてかなり遅いからと考えられています。
HIV-2の感染者のうち死亡するリスクがあるのは、感染していない人より単に2倍高いだけで、HIV-1感染者の10倍から20倍低いという報告もあります。
HIV-2感染者の臨床症状は?
HIV-2の感染者のほとんどははカポジ肉腫を発生することはありませんが、その他の臨床症状はHIV-1と同じです。
HIV-1とHIV-2の二重感染は起こりえるのか?
HIV-2に感染した者はHIV-1に感染しにくいという報告がありますが、西アフリカにおける報告ではHIV-2の感染者の方がHIV-1の感染のリスクを高めているという報告も存在しますから、一概に
HIV-2に感染した者はHIV-1に感染し難いとは言えません。
In vitro の研究ではHIV-2の感染はHIV-1の感染を防いでいるという研究結果が出ていますが、しかし現実はHIV-2がHIV-1の感染を完全に防御しているわけではありません。
HIV-2の治療方法は?
現実先進国では、HIV-2に感染者で抗レトロウイルスの治療を受けている人は少ないことから、治療方針は定まっていません。
更に現時点でもHIV-2の感染の治療のガイドラインは存在していません、従って現在ではHIV-1感染者と同様な治療を行っているのが現実です。
日本国内における性行為によるHIV-2感染者は?
written by 血液の鉄人