HIV/AIDS 用語集



HIV/AIDSに関する用語を簡単に解説してみました。

今後の新しい知見によって、内容が大きく変わることがあります。

2009/01/24 新規作成
2009/02/01 一部改訂
2009/03/22 一部加筆
2010/01/25 一部加筆
2011/02/26 一部加筆


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いきなりエイズ

HIVに感染していることに気づかないまま、AIDSを発症してしまうこと。
不安な行為をした場合、HIV検査を受けることにより防ぐことができる。

ウインドウ期(ウインドウ・ピリオド)

HIVに感染して検査で陽性と判定できるまでの期間を言う。
この時期はヒトにより異なる。

HIV初感染後、最初にみつかるのは、
@血漿中のHIV RNA(HIV RNA検査)
A単核球中のHIV DNA(PCR法・リアルタイムPCR検査)、
BHIV(p24)抗原(抗原抗体検査)
CIgM型のHIV抗体(各種抗体検査)
DIgG型のHIV抗体(各種抗体検査)
の順となる。

通常は、HIV抗体の検出で陽性と言う。

感染して抗体ができるまでの平均日数は20日であり、4日から41日の間に陽性化するものが95%である。

しかし、抗体が出来ても、抗体検査で見つかる量でないと検査当然は陰性となる。
さらに抗体が陽性化するおよそ7日ほど前にHIV RNAが陽性になる時期があり、これ以前はPCR法のウインドウ期ということになる。

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エイズ診断基準

厚生労働省エイズ動向委員会の「サーベイランスのためのHIV感染症/AIDS診断基準(1999年)」によると、HIV感染者であり、23の指標疾患(Indicator Disease)の1つ以上が明らかに認められる場合にAIDSと定義する。

定義は時代によって変化する可能性がある。

『AIDS a la carte』、
「HIV感染の判断基準について」
「AIDSの指標疾患について」を参照。

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エイズノイローゼ

専門語ではなく俗語で、実際は神経症である。

身体症状は「痛み」や「しびれ感」や「倦怠感」など、他人からは認知できないものが多く、精神症状が不安定となる。

例えば、本人にとって不安な性行為をしてしまった後に、「もしかして相手がエイズだったら・・・・」と思い悩み、感染の恐怖から精神的ストレスな陥り、体調が悪くなり、あたかも感染しているように思いこみ、最終的には死の恐怖を覚えるようになる。

治療の主体は、精神分析療法、カウンセリング、行動療法などの精神療法ですが、抗不安薬により症状が軽快し、治癒に至ることもありますが、感染不安を完全に取り除かないと、何時までも体調不良が続きます。

HIV感染不安から来る精神的ストレスは、色々の症状を引き起こし、精神的にも肉体的にも大きなダメージを受けることになります。

その為に、適切な時期に適切な検査を受けて、陰性を確認して、自分自身に、「感染はなかった」と言い聞かせるしか、解決策はありません。

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オーラルセックス

口を使って相手を愛撫すること。

男性性器の場合をフェラチオ。
女性性器の場合をクンニリングス。
肛門の場合をリミング。

唾液の中には、感染するほどのHIVがいないことから、フェラチオ・クンニンリングス・リミングをされる側のHIVの感染はありません。

しかし、HIVは、精液や膣分泌液に含まれているので、フェラチオ・クンニンリングスをする側は、低いながら、当然医学的には感染の可能性があります。

しかし、現実は、これらの行為からHIVに感染したという正式に報告はありません。

リミングに関しては、する側でも、肛門から出血がない限りHIVの感染はありません、しかし、肛門には大便が附着しているので、便に含まれるような病原体からの感染のリスクは当然あります。

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感染率

HIVの感染危険行為によって感染が成立する率であるが、行為の内容によってその率は異なる。
これは体内に侵入するウイルスの量とそのヒトの免疫力に関係する。

行為1回あたりの感染率

●輸血 90%
●静脈注射ドラッグ使用時の針の共有0.67%
●医療現場での針刺し事故 0.3%
●膣を使ったセックス(女性側) 0.1%
●膣を使ったセックス(男性側) 0.05%
●アナルセックス(受け入れ側) 0.5%
●アナルセックス(挿入側) 0.067%
●フェラチオ(受け入れ側) 0.01%
●フェラチオ(挿入側) 0.005%
●クンニンリングス(行為をする側) 0.001%
●クンニンリングス(行為を受ける側) 0.005%以下
●リミング(行為をする側) 0.001%以下
●リミング(行為を受ける側) 0.0001%以下
●キス 0.0001%以下


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偽陰性反応

HIV抗体検査で、本当は体の中にHIVがいるのに、HIV感染抗体がないと誤って陰性と判定をしてしまう場合を「偽陰性反応」と呼びます。

偽陰性反応が起きる原因は、その検査法ではひっかからない程、抗体の量が少ない場合と、まだ感染して間もないために抗体が十分できていない場合が考えられます。

HIV抗体検査は、偽陰性反応が起こらないように、検査の感度を非常に高くしていますが、幾ら検査の感度を高くしても、限界があります。

即ち、不安な行為でHIVに感染しても、日にちが経過していないと、
@HIV抗体が出来ていない
AHIV抗体が出来ていても、抗体検査で見つかる量に達していない
このような原因で、偽陰性反応が起こります。

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偽陽性反応

HIVに感染していなくて、本当は陰性であるのに、ある検査方法では陽性と判定してしまうことを言います。

HIVに感染している人を検査して、陽性を見逃さないために、スクリーニング検査は抗体の検出感度を高くしていることから発生する現象です。

スクリーニング検査の1〜5%前後で発生します。

主な検査の偽陽性反応の出現率は?

出現率は色々言われていますが、血液の鉄人の経験と調査結果から以下に示します。

1.エライサ法による抗体検査・・・・・・・2〜5%
2.PA法による抗体検査・・・・・・・・・・2〜5%
3.迅速抗体検査(即日抗体検査)・・・・・・3〜5%
4.第四世代の抗原抗体検査・・・・・・・・2〜3%
5.リアルタイムPCR検査・・・・・・・・・・現時点ではゼロと報告されています。
この検査は非常に難しく熟練した者が検査しないと、偽陽性反応が100%出現してしまいます。
原因としては、他のウイルスや細菌が混入して、これらの核酸を拾い上げて陽性としてしまいます。
これを防止するには、シールドされた部屋での実施、熟練した者が検査をするということが必要となります。
その為、限られた施設でしか実施していません。

偽陽性反応の発生の原因は不明のことが多いです。

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急性HIV感染症

初めてHIVに感染した時から3〜6ケ月後あたりまでの状態を言います。

性行為で感染した場合は、HIVはまず粘膜の下のランゲルハンス細胞(樹状細胞)に取り込まれ、そこでHIVは増殖し、その後はリンパに流れでて近くのリンパ節に到着し、ここに住んでいる多くのランゲルハンス細胞でHIVの爆発的な増殖が起こり、全身にばらまかれる。

その期間は、体内に侵入してからおよそ数日から4週間後である。

やがて免疫反応によってHIVの増殖を抑えるが、完全には排除できなくて定常状態になる。
この状態をセットポイントと呼びます。

急性感染期に症状が現れる頻度は不明ですが70%近いという報告もあります。
最近、学会発表などでめざましく報告例が増えています。

感染者の受診と専門医療機関での経験の増加、そして何よりも実数の増加を反映していると考えられています。

急性HIV感染症の患者では、薬剤耐性に関連する変異が発見されることが多いようです。

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急性HIV感染症の症状

HIVをたくさん作っている細胞を、細胞傷害性T細胞(CTL)が排除しようと、攻撃しているときに起こる生体の免疫反応。

つまり大量のサイトカインが降り注いでいる症状。

例えば、症状だけからは「伝染性単核球症」や「インフルエンザ」との区別は困難。

症状は、
『知識の窓』、「エイズの病状【感染から発病について】 」

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急性HIV感染症の診断

丁寧な病歴の聞き取りで本症を判断する。

検査では急性HIV感染症の時期にはHIV抗体が陰性のことが多いが、リアルタイムPCR検査で血液中のHIV遺伝子の核酸を調べることにより、早期に判定できる。

一度の検査で犯他薦できないことから、日にちをあけて、再度採血を行い検査をするなど、慎重に経過を観察し、最終的にはHIV抗体陽性化をもって診断する。

【鑑別疾患】
『AIDS a la carte 』、「AIDSの指標疾患 について」

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急性HIV感染症の治療

多くの患者では最初のHIVの爆発的増殖で、HIV特異的なヘルパーT細胞をねらい撃ちになってしまい、やがてCTL(細胞傷害性T細胞)もいなくなってしまう。
CTLが維持された場合が長期非進行者と考えられ、抗HIV薬なしでHIVの増殖は少なくCD4細胞数も長期間良好に保たれている。

「HIV急性感染のうちに強力な抗HIV療法を実施してCTLを温存できれば、長期非進行者を作ることができるのではないか。それなら感染初期に抗HIV薬を使い、やがて中止できるかもしれない。」という仮説が考えられたが、実際には、治療中止後ある程度経過すると、ほとんどの患者でウイルス量は再上昇し、治療開始前の値に戻ってしまいます。

現状では研究目的や急速に進行する患者を除いて、急性感染期の積極的な治療は行われていないのが現状です。

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抗原抗体同時検出キット

第四世代の抗原抗体検査とも呼ばれる。

EIA法の原理を利用したHIV抗原抗体同時検出キットが数社から発売されている。

抗体陽性化パネル血漿を利用した検定で、HIV抗体が陽性になる数日前に陽性化がみられ、抗原を検出している。

これを利用することで、抗体検査でのウィンドウ期を短縮することができる。

スクリーニング検査法であるので、本法で陽性の場合はウェスタンブロット法およびRT-PCR法による確認が必要である。
『知識の窓』、「HIV第4世代試薬一覧 」
『知識の窓』、「第四世代の抗原抗体検査を何時受ければ良いかの検証について」

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肛門性交

肛門を使った性行為で、"アナルセックス"ともいう。
ペニスあるいは代用物を相手の肛門に挿入して性交を行うことを言う。
同性間でも異性間でもある。


受ける側をreceptive(ネコ:bottom)といい、挿入側をinsertive(タチ:top)という。 直腸は膣に比較して粘膜が薄く、静脈が沢山ある為に、病原体などが血液中に入り込みやすいことから、感染のリスクは非常に高い。
豊富なリンパ組織は同時にHIVのターゲットであり、HIV感染にとっては非常に都合がよい。

本来肛門は性交を行う器官でないことから、行為そのものが危険行為といえます。
"防護策が行われない性行為(コンドームの使用)"は非常に危険な行為と言えます。

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迅速検査

即日抗体検査とも言う。

15分以内にHIV抗体検査の判定できるのでこの名前がついた。
日本ではIC法(免疫クロマトグラフィー法)のことをいう。
その日の内に結果が出るという意味で「即日検査」とも言う。

検査を受けた当日に結果がわかることからして、検査を受ける人には都合のよい検査法であるが、偽陽性反応がやや多いことが問題。

『知識の窓』、「イムノクロマト法 『ダイナスクリーン・HIV-1/2』の判定方法」

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スクリーニング検査

多くの血液を一度に検査することを言う。

疑わしいものを全部拾い上げ、その中から本当に陽性のものを絞り込む方法で、第一段階の検査をスクリーニング検査です。

検査は鋭敏でかつ誤りがないことが理想であるが、両方を兼ね備えた検査法はまず存在しない。

鋭敏さを追求すると誤り(偽陽性)が発生し、間違いないものだけみつけることを追求すると見逃し(偽陰性)が発生する。

スクリーニング検査は、陽性を見逃さないようにする必要があることから、(偽陽性)が発生しても仕方がないことである。

その為に、陽性や判定保留の場合、必ず確認検査を実施する必要がある。

スクリーニング検査には、
HIV-1/2抗体:ELISA法、PA法、IC法
ELISA法によるHIV-1抗原抗体同時検査がある。

『知識の窓』、「エイズ検査キットについて」

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セーファーセックス

性行為感染症やHIVに感染するリスクを下げるように配慮した性行為のこと。

性行為では、ペニス、膣という性器と性器、口(舌)粘膜、肛門・直腸粘膜、手指などの身体部分、さらに性器具(ディルド)などが接触する事から、身体部分は健康な皮膚を除いてHIVに感染する可能性がある。

一方、唾液には感染性のHIVが含まれることはないが、HIVを含む精液、膣液、血液がそれぞれに接触したり侵入する時に感染するリスクがある。

感染防止策の具体例は、感染しやすい性行為をしないことや、コンドームの使用がある。

性行為を否定的に考える環境では、セーファーセックスからも目をそらす結果となってしまうことから、性行為を行うのなら、セーファーセックスを真剣に考え、セックスパートナーと話し合える環境を作ることが重要です。。

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性行為感染症

性行為によって感染する病気の総称。
STDと略称。
性病(venereal disease)は狭義で、現在はあまり使用されない。
感染病原体は、ウイルス、細菌、真菌、原虫、節足動物などいろいろ存在する。

『エイズQ&A』

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性行為

性行為には様々なバリエーションがある。

主体が、
1)女性+男性
2)男性+男性
3)女性+女性、
4)多人数の場合
もある。

目的としては、
1)生殖
2)コミュニケーション(愛情がある場合もない場合もある)
3)娯楽
4)商業活動
5)性欲の解消
などがある。

これらの主体や目的のバリエーションは、HIVや行為性感染症の感染リスクとは直接の相関関係を持たないということが重要である。

同性間の性行為や、商業活動における性行為、愛情のない性行為がHIV感染を成立させるのではない。

反対に異性間の性行為や、生殖を目的とした性行為、愛情のある性行為でもHIV感染は当然起こり得る。

一方、性行為の内容はHIVや性行為感染症の感染リスクと大いに関係がある。

特にHIV感染についてリスクの高い行為は、
精液や血液
膣分泌液
カウパー氏腺液(先走り液:射精前に尿道口から出てくる粘液)
が粘膜(膣上皮、直腸上皮、口・鼻腔
粘膜、尿道口、眼球や眼瞼結膜)や傷口に直接接触する行為である。

例として勃起したペニスが、膣や肛門や口腔内に直接挿入される性行為がある。

一方リスクの低い性行為としては、抱擁、キス、手淫などがある。

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即日検査

「迅速検査」を参照。

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針刺し事故

患者に使用した針を誤って医療従事者に刺してしまうこと。
医療従事者が感染者の治療を嫌う理由の第一であり、日常的に医療現場では事故が多発していることを示している。

日常生活で、針・ゼムピン・画鋲などを指に刺すことは、針刺し事故とは言わない。

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プロウイルス

ウイルスの遺伝子情報のコピーがDNAとして、感染した宿主細胞のDNA内に取り込まれて、細胞内に存在する状態を言う。
プロウイルスは、宿主の細胞が分裂するのに伴い、感染細胞のDNAとともに複製され、 次の細胞に引き継がれる。

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ホモセクシャル

同性愛または同性愛者のこと。
特に女性同性愛者はレスビアンという。
また肯定的な呼称をゲイという。

性愛は一般に、
「同性愛」
「両性愛」
「異性愛」
の三つに分類されるが、身体的性別や性自認(自分がどのような性別と感じているか)および性的指向にはグラデーションがあるため、性愛は多様性があると考えられるようになってきている。

しかし世間では大多数が異性愛者と呼ばれる範疇に属するといわれているため、それ以外は「性的マイノリティー(少数派)」といわれ、現在においても偏見や差別の対象となることがある。 

性的指向は自己選択が容易ではなく、いまだ多くの同性愛者が異性愛者中心の社会で自分の性愛に悩んだり、同性愛者としての生活と日常生活を分断してしまっている。
特に思春期においてはセクシャルアイデンティティー(自分の性の自認)や自己肯定感の獲得が困難であることが多く、アン・セーファーセックス(安全でない性行為)との相関も最近注目されている。

その一方で、当初男性同性愛者の性行為がHIV蔓延の原因とされたため、主に欧米のゲイ・コミュニティ内からセーファーセックス(より安全な性行為)という概念が生じたことも忘れてはならない。

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母子感染

HIVに感染した母体から胎児・新生児への感染を言う。

母が感染者の場合、児に感染する率は、
ヨーロッパで15%
日本で推定20%以下、
アフリカでは50%という地域もあり、
平均は30%前後と推測されている。

母体のHIV RNA量が多いほど感染率が高い。

感染経路としては、
(1)子宮内あるいは胎盤感染
(2)産道または周産期感染
(3)母乳感染
がある。

陣痛が起こる頃になると、胎盤の一部が剥がれて、お互いの血液が混じり合う。
破水後から娩出に至る時間が長いと感染率が高い。
感染率は母体の血漿HIV RNA値に比例しており、1000コピイ/mL以下では感染例は稀で、10万コピイでは40%に及ぶ。
これらの結果からして母子感染は、「産道または周産期感染」が大半なのではないかと考えられている。

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母子感染の診断

出生直後に新生児のプロウイルスDNA(PCR)を、直後、1週、4週、24週に血漿HIV RNA検査する。

出産直後にPCRが陽性のものは、子宮内感染が疑われる。

出産直後にPCR陰性で、その後陽性に変わったものは周産期感染と考えられる。

24週までPCR陰性のものは、感染を免れたものと診断される。母親からの移行抗体であるHIV抗体は通常消失に15ヶ月を要するので、18ヶ月以後に複数回陽性の場合は感染と考えられる。

なお出生前診断は流産の危険性があるうえに感染を発生させる危険がある。

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母子感染の予防

母子感染を予防する方法は次のものが考えられる。

(1)妊婦のHIV検査の奨励。
(2)妊娠中に抗HIV薬で母体のHIV RNA量を減らす。
(3)予定帝王切開によって娩出時間を短くし、産道粘液や母体血への曝露を減らす。
(4)分娩中のAZT点滴。
(5)新生児への抗HIV薬の使用。
(6)母乳の禁止。

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無症侯キャリア

急性HIV感染症の後、体内のHIVは大人しくなったようにみえるが、実際にはリンパでHIVは盛んに産生されており、1日あたり10の10乗個のウイルス粒子ができているという。
CD4細胞は毎日作られ、毎日破壊され、ある種の平衡状態になる。
感染者の免疫能(CD4細胞数)は比較的保たれ、まったく症状はない。
このような状態の感染者を無症候キャリアと呼んできた。

この時期にみられることがある検査値異常としては、赤沈の亢進、白血球数低下、血小板数低下、γグロブリンの上昇などがあるが、一時的なものである。

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免疫クロマトグラフィー法

略号は「IC法」。

アボット社の「ダイナスクリーン・HIV-1/2」のことを言う。
血清、血漿、全血を50μL滴下し、15分後に赤いバンドがでることにより陽性と判定する。
感度は従来のスクリーニング検査法と同等なので、検査を受ける時期を間違わなければ見逃しはない。


陽性の場合は確認検査が必要。

相対的に偽陽性が多く発生する。

『知識の窓』、「イムノクロマト法『ダイナスクリーン・HIV-1/2』の判定方法」

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リアルタイムPCR検査

従来のエイズPCR検査は、「アンプリコア 高感度法」と「アンプリコア 標準法」の2つがありましたが、今回この2つの検査を一つにしてリアルタイムPCR検査に統一改良されました。
正式名称は、『コバス taqMan HIV-1「オート」』と呼びます。
健康保険の名称は『HIV-1核酸増幅定量精密検査』です。
検出感度に関しては、
1.高感度法 50×10の五乗コピー/mL
2.標準法 400×10の五乗コピー/mL
3.リアルタイム法 40×10の七乗コピー/mL
で従来の検査方法より非常に検出感度が良くなっています。

検査成績の記載は、
検出範囲は、40〜1.0×10の七乗コピー/mLです。
以下の三種類に分けて記載されます。
1.測定上限を超えた場合 検査結果は【>1.0×1.0×10の七乗コピー/mL 検出 陽性】
2.測定範囲内 検査結果は【○○×1.0×10の○乗コピー/mL 検出 陽性】
3.測定限界未満でウイルスが存在する時 検査結果は【<○○×1.0×10の○乗コピー/mL 検出 陽性】
4.測定限界未満でウイルスが存在しない時 検査結果は【<○○×1.0×10の○乗コピー/mL 検出せず 陰性】


この検査の信頼性は、
非常に優れた検査ですから、不安な行為から11日以降に受ければほぼ100%信頼できる結果
が得られます

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AIDS

Acquired immuno-deficiency syndrome
日本語訳は、『後天性免疫不全症候群』。
『エイズ』を参照。

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ARC

ARC; AIDS-Related Complex

エイズ関連症候群とも言う。
最近はあまり使われない。

HIV感染症の経過中の、症状のない時期を過ぎて、様々な軽い症状が出始めているが、まだエイズと診断する疾患に至っていない時期のことを言う。
便利な概念であるが厳密な定義はない。

一般にARC症状はエイズの症状よりも軽い。
慢性リンパ節腫脹(PGL)の場合を早期ARC
口腔カンジダ症、帯状疱疹、口腔毛状白板症、血小板減少症などは後期ARCと呼んでいたこともある。

ARCではCD4陽性細胞数は400/μL以下に減少しているものがほとんどである。

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ELISA法

Enzyme linked immunosorbent assay

エライサほうと読む。
酵素抗体法。
世界で広く採用されている抗体スクリーニング検査法。
血液中の微量な抗体も計ることができる感度が高い検査法。

ELISA法は自動化機械で一度に大量の検査ができ、酵素の基質を化学蛍光発光物質にするなど精度・感度と測定域の拡大も著しい。

HIV抗体測定の場合で説明すると、
1.試験管の中にHIV由来の蛋白抗原をくっつけておく。
2.これに患者の血清を加える。
3.患者の血清の中にHIV抗体があれば試験管の表面にある抗原に結合する。
4.これに別の抗体に対する抗体(酵素をくっつけてある)を加えると、くっついた量に応じて酵素が増加する。
5.これに色素反応をさせて、色がコントロールより濃くなればHIV抗体が存在すると判定する。


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HIV

Human immunodeficiency virus

ヒト免疫不全ウイルス。
エイチ・アイ・ヴイと読む。
エイズウイルスは一般語あるいはマスコミ用語。
エイズなど一連のHIV感染症を引き起こす原因ウイルス。

タイプ、グループ、サブタイプなどに細分類される。

HIV粒子の外形は楕円形で、表面は不安定な突起でおおわれ、あたかも機雷を思わせる形をし、ウイルス自体の大きさは100オングストローム単位(10000万分の1)である。
表面の不規則な形をしたギザギザの短い突起は"gp120"と呼ばれる分子量12万の外被糖蛋白で、HIV粒子の構造を維持している"gp41"と呼ばれる分子4万1千の糖蛋白に付着しており、HIVが感染するとヘルパーT細胞と呼ばれる人のリンパ球を探すアンテナの役割をする。
この突起はウイルスが一旦感染するとヘルパーT細胞の中に侵入していく働きをする。

さらにHIVは、この突起のアミノ酸配列を常に変化させ、異常な速さで変異するために、有効なエイズワクチンの開発が遅々として進まないのが現状である。

HIVの増殖サイクルはつぎの通り、

HIVの遺伝子はRNAでHIVが持ち込んだ逆転写酵素の力で人間の遺伝子の形であるDNAにコピィされる。
さらにインテグラーゼという酵素の力で人間の細胞の核内にある遺伝子に組み込まれる。
これをプロウイルスDNAという。
プロウイルスDNAの情報が転写されると核内でメッセンジャーRNAとゲノムRNAが作られ、細胞質に移って設計図に従った酵素や膜などの構成分が作られ、蛋白分解酵素で成熟蛋白になり、部品が組み合わせられ、細胞から出てくる。

『話題の扉』、「エイズウイルス(HIV) 」

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HIV RNA

HIV RNA

HIVの遺伝子はRNAである。
1996年に核酸増幅法により定量できるようになり、病気の理解や治療の考え方が大きく変化した。

血漿中のHIV RNA量は個人差がかなり大きく、体内のリンパ節などで日々産生されている量と、リンパ節内や消化管で処理されている量の差し引きである。

理由は不明であるが、CD4細胞数が同じでも女性のHIV RNA量は男性のおよそ半分である。
血漿中のHIV RNAが多い人は、一定数の白血球(単核球)あたり持っているプロウイルスDNA量や作っているmRNA量も多い。

(1)病気の進行予測:多いほど早い
(2)治療開始の時期の判断
(3)耐性発生など治療変更の判断
(4)抗HIV薬の効果判定
(5)急性HIV感染症の診断、
などに利用されている。

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HIV−1

Human immunodeficiency virus, type I

世界中の流行の大半をしめるHIVの大きなグループ。
西アフリカやヨーロッパに一部あるのはもう一つの亜種でHIV-2型である。
HIV-1はさらに3つのグループに別れ、そのうちのグループMは、さらにサブタイプが細かく分類される。

『知識の窓』、「HIVサブタイプ」

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HIV−2

Human immunodeficiency virus, type 2

HIV-2型は西アフリカ地域と、交流が深いヨーロッパで発見される第2のエイズウイルス。
HIV-2の遺伝子配列は猿のエイズウイルスであるSIVに近い。
アメリカでは供血者で数十人がみつかったが、いずれも西アフリカに関連がある人たちであった。

現在実施されている通常のスクリーニング検査ではHIV-1とHIV-2の両方の抗体を検出することができる。

国内で、今までに性行為で感染した、HIV感染者およびエイズ患者のHIV-2の検査を実施して、現時点では、HIV-2の感染者は存在しません。

当然、献血でHIV-1の感染が判明した献血者を全て、HIV-2の検査を実施していますが、この中にも、HIV-2の感染者は存在していません。

保健所・医療機関でHIV感染者・エイズ患者と判明した人の中にもHIV-2の感染者はいません。

また、血液製剤の投与で、拭こうにも感染した人の中にも、HIV-2の感染者はいません。

今までに日本国内で、HIV-2の感染報告は3例あります。

1例 外国人で、国外で感染して、日本でHIV-2の感染者と判明

2例 韓国人で、国外で感染して、日本でHIV-2の感染者と判明

3例 日本人で、西アフリカで輸血を受けてHIV-2に感染

現時点では、日本国内で、性行為によりHIV-2に感染した人は存在しません。

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HIV感染症の診断法

HIV infection, Diagnosis of -

日本エイズ学会ではスクリーニング検査法の改良と、急性HIV感染症とHIV-2感染症の問題から、 つぎのような手順を推奨しています。

(1)HIV-1/2スクリーニング検査を実施する。
陰性→非感染、またはウインドウ期。
陽性または保留またはウインドウ期が疑われるものには確認検査を実施する。

(2)HIV-1確認検査はウェスタンブロット(WB)法とRT-PCRを同時に行う。
両者が陽性→HIV-1感染者
WB法保留でPCR陽性→急性HIV-1感染者
WB法陰性でPCR陽性→急性HIV-1陽性者、さらに2週間後に再検査
WB法陰性/保留でPCR陰性→さらに2週間後に再検査で再確認し、陰性ならスクリーニング
検査は偽陽性と判定。

ただしHIV-2確認検査も行う。

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HIV感染症の治療開始

HIVを体外に排除することは現在の医学では不可能です。

このためHIV感染症治療の目的は、HIVの増殖が免疫不全を進め、二次的な日和見感染症や腫瘍によって、感染者の生命や健康が脅かされることを改善したり予防することしかできません。

治療には利点と欠点があるので、最新の証拠を勘案したものが治療指針として示されていますので、必ず専門医に相談する必要があります。

長期にわたる服薬維持が必要なことから、治療開始の前に、患者の病気理解と積極的な治療の意志を充分確認する必要があります。

2005年秋の時点の一つの考え方は以下の通り、
1)すでにエイズ発病しているものは治療する。
2)無症状だがCD4細胞数が200未満のものはエイズ発病する可能性が非常に高いので治療すべきである。
3)CD4細胞数が350未満の場合も本人の希望があれば治療開始を考慮する。
4)これ以外では慎重に経過を観察する。

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HIV感染症の治療中止

HIV infection, interruption of treatment

抗HIV療法は治療に成功しても中止しないのが大原則となる。

しかし、
1)手術などの理由で服薬できない場合、
2)重大な合併症や副作用の管理に抗HIV薬が障害となる場合、
3)患者が厳格な治療を実行できない場合は、治療を中止せざるをえない。
4)長期にわたる抗HIV薬の服薬から患者を開放し休養を与えるという意味があるかもしれないいわゆる「飲み疲れ」。

中止すると数ヶ月以内に初回の治療開始をした状態に戻るという報告が多い。

薬剤耐性HIVの患者が治療を中断すると、ウイルス量は増加し、CD4細胞数は低下する。
このまま数ヶ月たつとHIVは耐性型から野生型にもどり、薬剤感受性が回復する。
しかしここで再度抗HIV薬による治療をしても耐性HIVが再出現することが多い。

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HIV感染症の治療変更

HIV infection, change of treatment

抗HIV薬の副作用に耐えられない場合や、効果不十分、耐性発生の場合に治療の組み合わせを変更することがある。
経験が少ない臨床医は専門医にセカンド・オピニオンを求めるべきである。

抗HIV療法が有効でHIV RNAを検出限界以下に抑制しているが、貧血、腎障害、糖尿病、リポジストロフィーなどの重篤な副作用があれば、1剤(あるいは全部)をとり替えることがある。
抗HIV薬への耐性が発生した場合、どのタイミングで薬剤変更すべきかは定まらない。
HIV RNA値が先に再上昇してくるがCD4細胞数は低下する場合と、低下しない場合があるこのあと選択できる薬剤の種類をにらみながら、CD4細胞数の低下で変更に踏み切ることになる。
通常は2剤以上あるいは総入れ替えを考える。
薬剤耐性検査の結果を参考にする方が成功率が高い。

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HIV感染症の定義

HIV infection; definition of -

HIVの抗体スクリーニング検査法

酵素抗体法(ELISA)
ゼラチン粒子凝集法(PA)
イムノクロマトグラフィー法(IC法:迅速抗体検査)
抗原抗体検査 の結果が陽性で、
以下の検査の(1)(2)のいずれかが陽性の場合にHIV感染症と診断する。
(1)抗体確認検査(ウエスタンブロット法、蛍光抗体法(IFA)等)
(2)HIV抗原検査、ウイルス分離及びリアルタイムPCR等のHIVに関する検査
が陽性。

上記の検査基準を満たし、エイズの指標疾患(Indicator Disease)の1つ以上が明らかに認められる場合にAIDSと診断する。

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HIV抗原

HIV antigen, p24 antigen

HIVの体の一部のp24という蛋白を言う。

p24はウイルスの芯の部分で、ウイルス遺伝子を包んでいる膜の蛋白で分子量が24,000ダルトンである。

検査方法はELISA法。

血液中にこのHIV抗原がみつかるということは、大量のHIVが体内でできていることを示す。
急性HIV感染症の時期、そしてエイズ発症の頃に検出されることがあるが、無症状な慢性期には検出されない。

HIVの急性感染で抗体ができる約1-2週間程度前にみつかるので、「HIV抗原抗体検査」のキットが発売されている。

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HIV抗原抗体同時検査

HIV antigen antibody testing

HIV抗原がEIA法で検出できるほど高くなるのは、感染初期の2週から数週間と限られており、一方でHIV抗体は感染後約3週間は検出されないことがほとんどである。
しかしキットの組み方を工夫して、抗原または抗体を一度に検出するキットが作られて市販されている(ジェンスクリーン、バイダスHIV DUO、エンザイグノストHIVインテグラル)。

陽性化パネル血清での検討では、抗体単独検査に比べて陽性化が数日は早い。
その前は陰性だからウインドウ期間が少し短くなるだけである。

本法はスクリーニング検査なので、陽性の結果が出た場合は、ウェスタンブロット法と同時にHIV-1 RNA定量検査を行って確認することが必要である。

『知識の窓』、「第四世代の抗原抗体検査を何時受ければ良いかの検証について」

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HIV抗体

HIV antibody

HIVの増殖に伴いT細胞の指令でB細胞が作る抗体。HIVの色々な構成成分(=抗原)に対し、それぞれに結合する抗体ができる。
つまりウイルスが細胞に侵入する部分に被さる抗体は、感染を防ぐ(中和)ことができるが、ウイルス内部の構成分に対する抗体には中和能力(HIVを殺して無毒化する働き)はない。

HIV感染の機会からスクリーニング検査が陽性になるのは平均で20日目であり、95%の人は4日〜41日のうちに陽性になりますが、人によってこの期間はまちまちです。

例え抗体が出来ても、HIV抗体検査で見つかる量が出来ていないと、検査は当然陰性となってしまいます。

抗体がみつかる迄の期間をウインドウ期という。

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  HIV抗体検査

HIV antibody testing

検査法は2つに分類される。

1.スクリーニング検査法
PA法、ELISA法、IC法があり、これらは非常に検査の感度が高く見落としが少ない。
逆に検査の感度が高すぎて、本当は陰性なのに陽性と誤反対(偽陽性)する可能性がある。

2.確認検査法:ウェスタンブロット(WB)法。
鋭敏ではないが、この検査が陽性となれば真の陽性と判断する。
判定困難な場合は「判定保留」とされ、後日の再検査が勧められる。

スクリーニング検査で陽性となったもののうち、確認検査で陽性と判定されるのは数%以下である。
通常はスクリーニング検査を先に実施し、陽性の場合に確認検査に進む。

急性HIV感染の可能性が高いときは同時にHIV RNA検査を実施する。
なお通常の医療機関で同時に全項目を検査すると、結果が返却される順序は、スクリーニング検査、確認検査、HIV RNA検査となる。

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HIV抗体検査陰性

HIV seronegativeness

HIVの感染抗体が、実施した検査法ではみつからないことを言う。

HIV感染から抗体ができるまでのウインドウ期間では陰性になる。
ウインドウ期間が否定されてHIV抗体陰性と言うことは、HIVに感染していないということである。

日本の供血者検査で抗体陰性、しかしNAT陽性(PCR陽性)でウインドウ期間である割合は、600万人に2人前後である。

なお、先天性免疫不全症候群は免疫機構に異常があるために抗体を作ることができない稀な病気である。

また、入院して免疫抑制剤やステロイド剤を多量に使用すると、抗体が出来ないことがある。

日常的に使用する程度の量のステロイド剤で、抗体が出来なくなることはない。

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HIV抗体検査陽性

HIV seropositiveness

HIV抗体検査が陽性の事を言う。

その検査はスクリーニング検査か確認検査かで陽性の意味が違う。
スクリーニング検査では、検査の感度が高すぎることから、本当は陰性なのに他の理由で陽性のように見える場合、つまり偽陽性反応が起こることがある。
スクリーニング検査の偽陽性率は0.03〜5%程度である。

確認検査で抗体が陽性ということは、体の中でウイルスが増え、それに対して抗体を作ったということになり、即ちHIVに感染していると言うことです。

感染妊婦から生まれた新生児では、胎盤を通じた母親の移行抗体を持っているので、抗体が 陽性でも感染とは限らない。
HIV陽性母体から生まれた新生児の場合、出産直後なら血液単核球のDNAからHIVのDNA(プロウイルスDNA)をPCR法で検出する。
生後1週間以後では、血漿HIV RNAが陽性になることが多い

HIVは感染すると細胞の中に住み着き一生体内から消えないので、確認検査で陽性とはHIV感染者を意味することになる。

HIV抗体陽性となったものは、生涯陽性のままで、陰性となることはない。
しかし、間違っていけないことは、感染=エイズ発病ではありません。 感染とエイズ発病は別のものです。

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HIV消耗症候群

HIV wasting syndrome, Slim disease

エイズ指標疾患の一つ。
HIV感染症が進行して、1ヵ月以上発熱や下痢が続いたり、意図しない10kg以上の体重減少が現れたものを言う。

食事摂取の低下、代謝異常、吸収の低下、下痢などが組み合わさっている。
特に性腺機能低下など内分泌代謝異常が注目されており、炎症性サイトカイン(IL-1、IL-6、TNFα)の関与が加わっている。

確定的な診断法ではありませんが、以下のすべてに該当するもので十分である。
1)通常の体重の10%を超える不自然な体重減少。
2)慢性の下痢(1日2回以上、30日以上の継続)又は慢性的な衰弱を伴う明らかな発熱(30日以上にわたる持続的もしくは間歇性発熱)。
3)HIV感染以外にこれらの症状を説明できる病気や状況(癌、結核、クリプトスポリジウム症や他の特異的な腸炎など)がない。

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HIV消耗症候群の治療

HIV wasting syndrome, Treatment of -

HIV消耗症候群の治療法としては、
1)抗HIV薬の使用でHIV増殖を抑えること、
2)ドロナビノールや酢酸メゲステロール(日本では未発売)という食欲増進剤、
3)栄養補給、
4)組み換え型ヒト成長ホルモン製剤(セロスティム)、
5)蛋白同化ステロイド、がFDAの認可済みである。アメリカではTNFαを抑えるサリドマイドの小規模な治験も開始されている。

治療有効率は40〜50%、平均生存期間は3〜6ケ月と言われたが強力な抗HIV薬の併用療法で発生頻度が減少しています。

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HIV−1グループ

HIV-1 group

遺伝学的系統分類から、HIVはHIV-1とHIV-2の2タイプがあり、
1.グループM(Main, major)
2.グループO(Outelier)
3.グループN(new)
の3種に分かれるが、世界の流行の大半はグループMである。
グループMはさらに10種類程度のサブタイプに分類される。

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HIVサブタイプ

HIV subtype

遺伝学的系統分類でHIVはHIV-1とHIV-2のタイプに分類され、更にHIV-1は3つのグループに分類され、HIV-1のグループMはさらに10種類近いサブタイプに分類される。

分類される根拠は遺伝子の配列がどう似ているかで近い、遠いを計算しておこなう。
今後の研究によっても変わりうる可能性は充分あります。

サブタイプによって疾病の自然歴、感染力が異なる可能性がある。

サブタイプのうち、
1.Aは中央アフリカとインドの一部
2.Bは南北アメリカとヨーロッパ
3.Cはアフリカ南部と東南アジアなどが主な流行地域で、日本の血液製剤や同性間性行為感染もBである。
この他、D、F、G、H、J、Kなどがある。日本に増えたタイE型は、サブタイプAに由来した組み換え体との説になり、CRF01_AEとなった(CRF-circulating recombinant form)。
この旧分類サブタイプEは1989年頃より急速に性感染として広がり日本でも増えている。抗HIV薬耐性遺伝子変異を調べているとマイナー変異になっていることがあるが、サブタイプ側からみれば自然多型であるとも言える。

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HIVワクチン

HIV vaccine

現時点では、HIV感染を予防する安全なエイズワクチンは開発されていません。
その理由はHIV-1の感染と防御免疫誘導のメカニズムがまだ完全には解明されて いないからです。

ウイルス感染症予防に通常用いられる弱毒生ワクチンを接種すると、サルのエ イズモデルでは明らかに有効です。
しかしHIV-1の場合、そのレトロウイルス特有の高い遺伝子変異性による強毒株 出現の危険が伴うため、安全性の観点からこの方法は採用できません。

そこで、弱毒生ワクチンで誘導される免疫応答を模倣できるような候補ワクチン を作ろうというのが現在の流れになっています。

第一世代の中和抗体産生を目指した表面抗原gp120ワクチン(VaxGen)の失敗 (2003年)を経て、ワクチン開発の主流は第二世代の細胞性免疫にターゲットを 絞った遺伝子組み換えベクターワクチンに移って来ています。

サルモデルで有効性が報告され、既に臨床試験に進んだ候補ワクチンはありますが、 サルで効果があったからといって、人のHIV-1感染を防ぐかどうかの判定には、 Phase III試験の結果を待たねばなりません。
Phase IIIまでの試験を遂行するには長い時間と莫大な費用がかかる上、途上国で使 用できるように安価に抑えねばなりません。 それゆえ、製薬企業からすればハードルが高く、開発への障害になっている事は事実です。

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IC法

Immunochromatography method
『免疫クロマトグラフィー法』のこと

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MSM

Men who have Sex with Menの略
「男性と性的接触を持つ男性」(次のA〜C)の総称。
A:男性同性愛者(ゲイ)
B:男性両性愛者(バイセクシュアル)
C:ゲイやバイセクシュアルを自認しないけれども、男性と 性的接触を持つことのある男性。
【HIV/エイズ問題啓発・研究分野の国際的用語】

PA法

Particle agglutination method

ゼラチン粒子凝集法。
日本で開発(フジレビオ社)され、感度が高く、一度に大量の検体処理ができることから、広く採用されているHIV抗体スクリーニング検査法。

あらかじめ特異抗原を結合させたゼラチン粒子に、HIV-1とHIV-2をそれぞれ赤と紫のように異なった着色しておけば、1回の検査でどちらに陽性かが判断できる。

偽陽性率は0.01〜0.03%程度である。

16倍希釈検体で実施して定性的に判定する。
抗体価を算出するために検体を希釈すると、通常の陽性検体は数万倍以上に希釈しても陽性反応を示す。 偽陽性反応を起こす検体は、512倍位まで、陽性反応を呈することがある。

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PCR法

PCR: Polymerase chain reaction

ノーベル賞をとった核酸増幅法の一つ。

検査方法の概略は、
1.検体からDNAを抽出する。
2.これをDNA分解酵素で断片化したあと、高温にして1本鎖にし、次に目的遺伝子に特有のプローブ(短い遺伝子)と塩基を加え、DNAポリメラーゼを反応させる。
そうすると相補性のDNA鎖が合成され2本鎖の割り箸のようなDNAができる。
3.試験管を高温にすると割り箸が割れるようにDNAは1本鎖に別れる。
温度を下げるとまたプローブとの反応が進む。
4.これを繰り返すと1本の遺伝子断片が、2本、4本、8本、16本、と倍々で増えて行く。
数十回繰り返すと、元の遺伝子が数十万倍に増える。
あらかじめ量がわかった遺伝子を入れて並行して反応させれば、測定検体と比較して定量できる。

感度の高さが逆に弱点になる。
つまり外界から他の微生物の遺伝子が潜り込むことがある、さらに拾い上げるべき遺伝子の配列(プライマー)の設計がポイントになる。
見つける目的の遺伝子の変異が激しい場合は、複数のプライマーを組み合わせて見逃しを避ける必要がある。 

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RT−PCR法

RT-PCR method

PCR法はDNAポリメラーゼを使うのでHIVのように遺伝子がRNAである場合は増幅できない。
このため試験管の中でRNAを逆転写酵素(RT)によってDNAにコピイした後、PCRを行う方法がRT-PCR法である。

ロシュ社の検査キットであるアンプリコアモニター(=商品名)では、定量にアイソトープを使わず、色がつく反応に置き換えることにより特殊研究施設以外でも測定が可能となった。

HIV-1の定量では超遠心で濃縮することにより、定量範囲を1mLあたり50から75,000コピーとすることが可能である。

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新 医学と切手の極意