副睾丸炎について

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副睾丸炎とは何ですか？

副睾丸炎は、精巣上体（左右睾丸に隣接する渦巻き管状構造）内の細菌感染症です。

正式名は精巣上体炎とよばれます。

精巣（睾丸）の横には精巣上体（副睾丸）と呼ばれる小さい器官があり、精巣でつくられた精子はここを通過します。

精巣上体から精管と呼ばれる管が精嚢腺と前立腺につながり、そこで分泌された精液といっしょになって尿道に出ていくのが射精です。

この逆の経路で尿のなかの細菌が精巣上体に入り込み、そこで炎症を起こす病気が副睾丸炎(精巣上体炎)です。

副睾丸炎を引き起こす原因は何ですか?

大腸菌などの雑菌によって起きる場合と、性行為感染症としてクラミジアや淋菌感染症などに合併して起きる場合があります。

前立腺肥大症、尿道狭窄、膀胱結石などの疾患があると、尿は汚れて細菌が増殖することから、副睾丸炎を起こしやすくなります。

これらは、高齢者に多く、大腸菌などの一般的な細菌が原因です。

副睾丸炎になるとどのような症状が出るのですか？

まず陰嚢内の副睾丸(精巣上体)の一部の軽い痛みから始まります。

初期の自覚症状としては、精巣そのものの痛みのように感じる場合が多く、徐々に陰嚢全体に痛みが広がり、陰嚢が硬くはれあがり、赤みを帯びてきます。

鼠径部や下腹部の痛みを感じることもありますが、これは精管に沿って炎症が広がっているためです。

腫れているところを押さえると強い痛みを感じ、３８℃以上の発熱を伴うことがしばしばあります。

副睾丸炎を治療しないとどうなるのですか？

適切な抗生剤を早期に使用することによって比較的治りやすい病気ですが、悪化すると治療が困難になり慢性化してしまったり、精巣を摘出しなければならないことがあります。

陰嚢のなかに膿がたまり、破れて出てくることもあります。

淋菌性のものは、さらに精路が狭くなり、両側がおかされている時は、男子不妊症の原因となることもあります。

副睾丸炎の検査はどのようにするのですか？

発熱などと、陰嚢の腫れ、痛みから診断します。

診断が難しい例では超音波検査を行います。

尿検査にて白血球 の存在やクラミジア、淋菌の検査などを行います。

副睾丸炎の治療法はどのようにするのですか？

尿路感染症に有効なペニシリン系、セフェム系、ニューキノロン系などの抗生剤の経口投与と、局所の安静、冷却を行います。
サポーターなどで陰嚢を持ち上げることで症状が和らぎます。

発熱などの全身症状がみられる場合は、消炎鎮痛薬の投与とともに、入院したうえで安静を保ち、点滴による治療を行います。

発熱を伴う急性期の炎症は１〜２週間でおさまりますが、副睾丸の腫れやにぶい痛みは数カ月続く場合が多く、時には副睾丸に硬いしこりが残ってしまうことがあります。

初期の治療が不十分であると、炎症が悪化して膿がたまり、陰嚢を切開して膿を出さなければならなかったり、精巣を含めて副睾丸を摘出することになる場合もあります。

副睾丸炎の検査はいつ受けたらいいのですか？

副睾丸に痛みがあれば、直ぐに受診する必要があります。

早期に見つけて、早期治療をすれば苦痛が少なくてすみ、短期で治すことができます。

副睾丸炎になるとHIVに感染しやすいのですか？

性器粘膜をタダレさすことがないのでHIVに感染しやすくなることはありません。

性行為で副睾丸炎になりますか？

クラミジア、淋菌などの感染によって副睾丸炎になることがあります。

不潔な性行為やオーラルセックスによって、雑菌が尿道から侵入して副睾丸炎を引き起こすこともあります。

副睾丸炎の治療中の性行為はしてはいけないのですか？

完全に治療が終わるまで控えるべきです。

何科を受診すればよいのか？

泌尿器科　性病科

written by 血液の鉄人