淋菌感染症(淋病)について
淋菌感染症(淋病)とは何ですか?
- 淋病(りんびょう)は、淋菌 (Neisseria gonorrhoeae) の感染によって引き起こされる性行為感染症のひとつです。
- 1984年をピークに一時的に減少しましたが、1990年代半ばから増加する傾向にあり、現在の感染率は約30%以上と推測されています。
- また、淋病は性器クラミジア感染症と同時感染(淋病患者中20%〜30%)している場合も多いことが知られています。
淋菌の感染する場所はどこですか?
- 男性は、尿道に感染して尿道炎を起し、女性は、子宮頸部や咽頭(のど)の感染がが多いですが、稀に尿道に感染がおこることもあります。
- 感染はほとんどの場合、性行為によって起こりますから、感染を防ぐにはコンドームの使用、不特定多数との危険な性行為やオーラルセックスを行わない事などが重要です。
- 相手が咽頭に淋菌感染がある場合、通常のキスでは感染する可能性は非常に低いですが、ディープキスの場合は感染率が高くなります。
- 性風俗店でのオーラルセックスを安易に行う人が増加し、女性の咽喉を感染源とする男性の淋菌性咽頭炎の感染者が近年急増しています。
- さらに肛門性交に起因する淋菌による直腸炎の増加も報告されています。
- また、最近では、大衆浴場などにおける感染も見受けられますが、この場合、共用している椅子などに淋菌が付着し、感染することが多く、性器が椅子に直接密着する女性に多いです。
- またまれですが、淋菌の付いたタオルからの感染も報告されています。
- 5歳以下の子供(特に女児の場合膣の浄化作用ができあがっていないことから)など抵抗力がない場合、お風呂やタオルなどで感染する場合があるので要注意ですが、成人になると抵抗力があることからお風呂やタオルからの感染はまず起こりません。
- 淋菌は、生命力の非常に弱い菌で、患者の粘膜から離れるて、体の外に一度出ると数時間で死滅して感染性を失ってしまいます。
感染するとどのような症状が出るのですか?
- 淋菌に感染した場合、男性の約半数の割合で症状は通常、感染から1週間以内に、排尿時に痛みを伴ったり尿道からの
黄白色の分泌物が出たり前立腺に炎症を起こし排尿異常、排尿困難な場合があります。
- 更に約2週間以上経過すると排尿時の痛みは更に激しくなり、うみの量も増え黄緑色のうみに血がに混じるようになり、
症状が激しくなると寒気や発熱・頭痛の症状まで出現します。
- その後、約5週間以上経過すると病状は徐々に治まり始め、尿道の炎症も痛みもうすらいできます。
- ごくまれですが3週間以上後になって初めて症状が現れるケースもあり、症状の有無に関係なく、淋菌に感染する可能性のある行為をした場合は直ぐに受診することが大切です。
- 女性の場合は感染しても自覚症状があまり無く、男性の症状にみられるような特徴的な症状とは違い、単に膀胱炎や膣炎と診断
されることがあるようなので注意が必要ですが、症状としては、排尿時の痛みそして黄色や血液が混じった膣分泌物などです。
- 女性における淋病の特徴は膣から感染後、子宮、卵管、骨盤内へと徐々に菌が進行して行きます。
淋菌感染を治療しないとどうなるのですか??
- 治療しないと、男性では尿道狭窄や不妊の原因になることがあり、女性の場合は子宮外妊娠、子宮内膜炎、卵管炎などの原因になることがあり、不妊となることもあります。
- そして、妊娠中の母親に淋菌が感染した場合、早産や流産を起こす可能性があり、また感染中に出産した場合、産道の途中で赤ちゃんに二次感染させてしまいます。
- 赤ちゃんが淋菌に感染すると、目や関節、血液に炎症を起こして命にかかわるケースもあり、このような合併症は早期に発見し、
早期に治療することで減らすことができます。
淋病の検査はどのような検査があるのですか?
- 男性では淋菌感染症特有の特有の排尿痛と黄色または黄緑色のドロドロとした排膿があれば問診だけでほぼ正確な診断がつきますが、淋菌感染症と診断するには尿中または尿道分泌物(膿)中の白血球の存在と染色により白血球中に貪食(取り込まれた)された淋菌(双球菌)を確認することによって診断します。
- 女性では膣分泌物中の淋菌を確認することで診断します。
- その他の診断方法としては、淋菌の培養検査、PCR法、DNAプローブ法などの検査が行われます。
- 昔は、培養による検査に頼っていましたが、現在では、PCR法によって淋菌の遺伝子を増幅させて調べることが可能となり、僅かな菌量でも検出できる様になっりました。
- しかし、口腔内の淋菌検査は適切な方法がありません、なぜなら唾液や食事、飲水などによって菌の大部分が洗い流されている可能性が高いこと、口腔内は常在菌が多いためこれらによって妨害を受け淋菌だけを検出するのは困難となるからです。
- さらに、PCR法にても常在菌のNeisseria族(淋菌の親類)と交差反応があり信頼度が低下することから、咽頭の淋菌感染の診断は非常に難しいのが現状です。
淋病の検査はいつ受けたらいいのですか?
- 潜伏期間は2日〜1週間ですので、不安な行為から2〜3日に検査を受けても信頼できる結果が得られます。
淋病の治療法はどのようにするのですか?
- 淋病の主な治療法は抗生物質の内服か注射ですが、早期に淋菌感染が分かれば抗生物質の数日の投与で治癒します。
- 男性、女性とも使用する抗生物質は同じです。
- 塩酸スペクチノマイシンの筋肉内注射、セフォジジムなどセフェム系抗生物質の静脈内注射、ニューキノロン系の抗菌剤の内服、セフェム系またはペニシリン系抗生物質の内服、テトラサイクリン系抗生物質の内服があります。
- 通常は3週間ほどの投薬で完治しますが、途中で薬を止めてしまったり、根治せずに治療を途中でやめてしまうと、慢性淋菌性尿道炎になる可能性があるので医師が完治したと言うまで指示通り服用を続けることが大切です。
淋菌検査はパートナーと二人でなぜ受ける必要があるのですか?
- 再び感染することがないように、パートナーの検査も必ずしましょう。あなただけの問題ではありません。
- 自分自身、淋菌の感染判明した場合は、パートナーに告げて、パートナーと共に検査を受ける必要があります。
- 自分だけが治療治癒しても、パートナーが感染者であれば再度パートナーから感染してしまいます。
淋菌に感染しているとHIVに何故感染しやすいのですか?
- 淋菌に感染して性器粘膜がタダレていると、粘膜の防護バリアーが破壊されて、HIVの感染確率が数十倍から数百倍と高くなりますので、注意が必要です。
1回の性行為での感染率は?
- 1回の性行為で淋菌が感染する可能性は、30%〜80%とも言われています。
- 最近では、風俗で働いている女性の多くに咽頭に淋菌感染が認められ、性風俗産業によるオラールセックスにより咽頭への淋菌関
感染が増加しています。
- また、感染者数の男女差は男性が女性の5−10倍多い傾向が認められています。
- さらに、淋菌感染症の10〜20%位にクラミジアの合併(混合感染)が認められていることから、淋菌検査の際には、クラミジア検査を同時に受ける必要があります。
何科を受診すればいいのですか?
- 男性 泌尿器科科、性病科
- 女性 産婦人科、泌尿器科、性病科
written by 血液の鉄人