軟性下疳について
軟性下疳とは何ですか?
- 軟性下疳(なんせいげかん)とは、軟性下疳菌(ヘモフィルス・デュクレイ)の感染により、性器部に出来物を形成する
性行為感染症のひとつです。
- 出来物の中身は膿で、放置すれば痛みは強くなり、潰れやすいから、すぐに潰瘍になってしまいます。
軟性下疳はどのようにして感染するのですか?
- 症状の出ている箇所に接触することで感染が広がります。
- コンドーム無しの性行為やオーラルセックスによって感染します。
軟性下疳の感染する場所はどこですか?
- 男性の場合は、包皮、カリ、亀頭、睾丸。
- 女性の場合は、外陰部など
- 口腔への感染もあり、口の中に、軟性下疳菌による小さな潰瘍ができるます。
感染するとどのような症状が出るのですか?
- 男性の場合は、包皮、カリ、亀頭、睾丸に膿のある米粒大のコブができ、痛みも伴い、触るとすぐ潰れ潰瘍になりますが、
男性の半数は潰瘍がひとつしかできません。
- 女性の場合、ほとんどが大陰唇に膿のある米粒大のコブができ、痛みも伴い、触るとすぐ潰れ潰瘍になりますが、
女性の半数以上は潰瘍が4つ以上出来ることが多いです。
- しかし、男女ともに潰瘍からの膿が付着して周囲に潰瘍が多発することもあります。
- 初発症状出現後2週間内外に鼠径(そけい)部リンパ節が赤く腫れて化膿することがあり、有痛性横痃(おうげん)
とよばれている股の付根のリンパ腺が腫れる。
- 男性、女性、ともに同じような症状が出ます。
軟性下疳を治療しないとどうなるのですか?
- 少し触っても直ぐに破れて出血したりしやすく、患部がどんどん広がり、股のリンパ部分まで腫れて痛むようになります。
- とても我慢できるような痛みでないことから、放置することは事実上不可能となります。
軟性下疳の検査はどのような検査があるのですか
- 患部の組織を採取して診断します。
- 特徴があるため、患部の視診、触診のみでも診断は十分可能です。
軟性下疳の検査はいつ受けたらいいのですか?
- 潜伏期間は、数日から1週間程度と比較的短く、感染後早く症状が現れます。
- 性器にコブのような症状や強い痛みを自覚したら、医療機関で早期診断を行う ことをおすすめします。
軟性下疳の治療法はどのようにするのですか?
- マクロライド系(ジスロマック、エリスロシン)、ニューキノロン系(シプロサキシン)、セフェム系(ロセフィン)
などを服用または筋肉注射します。
- 潰瘍面には軟膏を塗布します。
- 治療が有効な場合、1週間以内にかなり改善しますが、症状が改善しない場合、薬の変更もあります。
- 症状がなくなれば治ったことになります。
軟性下疳の検査はパートナーと二人でなぜ受ける必要があるのですか?
- 軟性下疳は潜伏期間が短く、激痛をともなうため、多くのパートナーへの感染させる可能性は少ないと考えられています。
- 数日間様子を見て、パートナーに症状が出なければ、感染はしていないと考えられています。
軟性下疳に感染しているとHIVに何故感染しやすいのですか?
- 軟性下疳の患者にはHIV感染者が多いことが報告されています。
- その理由としては、軟性下疳によって性器粘膜に潰瘍が出来ていれば、潰瘍部分からHIVが簡単に侵入して感染するからです。
- 専門家の間では、軟性下疳感染者は、HIV感染を疑えとさえ言っています。
軟性下疳の感染予防はどのようにすればよいのですか?
- 予防法はコンドームを使用することですが、軟性下疳が悪化して患部に潰瘍が広がっている状態では、
コンドームを使用しても患部に接触する可能性がでてくるので、予防できませんので、性的接触は避けるべきです。
軟性下疳の現状は?
- 最近では、有効な治療法が確立されて、日本を含めた先進国ではほとんど見られなくなった性行為感染症ですが、
アフリカやアジアなどの発展途上国などでは、まだ広く感染が確認されており、海外出張及び観光帰りで軟性下疳菌
に感染して、帰国することがほとんどです。
- そのため、アフリカやアジア等の発展途上国へ出張や観光に出かけて、羽目を外して、安易な性行為やオーラルセックスは慎むべきです。
- 日本では、ほとんど見られなくなったこの性行為感染症を『幻の性行為感染症 軟性下疳』と呼んでいます。
1回の性行為での感染率は?
- かなり高い確率で感染する可能性がありますが、正式な数値は分かりません。
軟性下疳はコンドームで可能ですか?
- 軟性下疳が悪化して患部に潰瘍が広がっている状態では、
コンドームを使用しても患部に接触する可能性がでてくるので、予防できません。
何科を受診すればいいのですか?
- 男性 皮膚科、性病科
- 女性 産婦人科、皮膚科、性病科
written by 血液の鉄人