カール・ランドスタイナー博士血液型判定が間違っていますよ

 ABO式血液型判定には人由来の抗A血清(免疫したB型ヒト血清)および抗B血清(免疫したA型ヒト血清)と、A型ヒト赤血球あるいはA型特異物質でウサギを免疫して作った動物免疫抗A血清、そしてカメ赤血球、B型ヒト赤血球あるいはB型特異物質で緬羊を免疫して作った動物免疫抗B血清が使用されてきたが、HIVの発見を契機に人由来の判定用血清からのウイルス感染の危険性が指摘され、最近ではウイルス感染の危険性が極めて低いモノクローナル抗Aおよび抗B抗体が多くの施設で使用されている。
 モノクローナル抗体は現在一般に使用されている人由来および動物免疫血清と比較して、ある種のVariant(変種・亜型)が正常赤血球と同様の反応を呈するなど、一部成績に食い違いが認められるなど種々の問題点が指摘されている。
  しかし、これらの事例は学問的なABO式血液型のVariant(変種・亜型)の分類に混乱を呈しているだけで、輸血の際の適合血選択には何ら問題とはならない。
 今回紹介する切手は1993年にガイアナから発行された「20世紀の科学者・医学者」9種連刷シートの1種で、カール・ランドスタイナーの肖像と共に血管内を流れる赤血球を背景にABO式血液型判定の結果が描かれているが、血液型判定結果に2カ所の誤りがある。
 @O型と判定されているのは抗A血清(下)と凝集せずに、抗B血清(上)と凝集していることから、判定はB型である。
 AB型と判定されているのは抗Aおよび抗B血清と凝集していないことから、判定はO型である。
 小さな外交官とも呼ばれている切手を発行する際には十分内容をチェックしてから発行して欲しいものである。
 カール・ランドスタイナーも草葉の陰で苦笑しているのでは?



カール・ラントシュタイナーの肖像と共に血管内を流れる赤血球を背景に
ABO式血液型判定の検査結果が描かれている。
20世紀の科学者・医学者シリーズ
1993年ガイアナ発行


血液の鉄人

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